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2019/07/22 16:54

石はただ、そこにいるから。
石は私のことをなんとも思わないから。
好きとも、嫌いとも。

それが好き。

一緒にいても私が損なわれることがなくて、
私に損なわれることもない。

ただ、きれいにそこにいる。
ただ、ひかりを通したり、反射したりしている。
その様子を、私がじろじろ見ても怒らない。

石を頼って、お守りにしているとき。
失敗しても、あきらめても、どんな道を通っても。
私のことを静かに応援し続けてくれる、ような気がする。

石とは関係が壊れることもないから、お別れもしなくていい。


***


私には、ずっと一緒にいる石がいる。

大人になるまですっかりその存在を忘れていたけど
小学生の私が入れたタイムカプセルから、ころっと出てきた。

角のまるい、ちょっと大きめのサイコロみたいなローズクォーツ。

家族旅行で軽井沢に行った時にたまたま入ったお土産やさんで、
母に初めて買ってもらった石だった。

明るくやさしいピンク色。
つやつやしていて、とてもかわいい。

私は、幼稚園の園庭できれいな小石を拾ってコレクションするような、幼い頃からの石好きだった。

海でも、山でも、石屋でも、いつも石を眺めている。
今とやっていることは変わらない。
母は「変な子ね」と言いながらも、私の石好きを知っていてくれた。


ふと見つけたタイムカプセルから現れたローズクオーツは、
昔と変わらず柔らかくひかりを通し、桃色の影をつくった。

こんな風に再会できるから、やっぱり私は石って大好き。


***

もうひとつ。

私は「宇宙の石」を持っている。

「可能性」や「無限大」という言葉が大好きだった、
中学受験にむけてがんばっていたころ。
母がどこかで買ってきてくれた、卵型の石がある。
サイズは、鶏の卵とちょうど同じくらい。

全方位、どのように傾けてもひかりを受けて輝いている。
まぶしいほど広範囲に光ったり、たくさんの細い筋が光ったり、ぞっとするほど暗い中でちらちらときらめく無数の粒が見えたり。

全部光るわけではなく、ちゃんと暗い部分があるのがいいな。
一見、濃い灰色なのに、傾けるとびっくりする色で光るのがいいな。
そう思っていた。

青や緑や黄色の光をともなってメタリックに輝くこの石は、
無限大の可能性を放って、まっすぐに宇宙につながっていた。

見ているだけで宇宙に行けちゃう、不思議な石だった。


...無限大の可能性なんて、元から存在しなかったんだ。
最低な言葉だ。夢なんてもう見たくない。
くそくらえって自滅的に生きた時期もあった。


今またこうして、私の手の中にこの石がいる。 

今この石を見てみると、
宇宙にも行けちゃうけど、その前に地球にいたいかな。
持ってるだけで自然に戻っていけるような、不思議な石。


あれから何十年もたった私に、まだあるだろうか。
無限大の可能性。

なんて大げさな言葉だろう。
そうとも思わなければ、いられなかった何かがあったのかもしれない。

無限大の可能性。
もちろん、あるに決まっている。
今もこうして生きているから。
今日も明日も明後日も、この日常が続いていく。
日常が無限大の可能性なんだって、
そんな大げさな言葉を使わなくてもいいんだって、
やっと思えるようになった。


この日常がいつか続かなくなる日がきたら、
私も自然に還っていく。

意識を手放し、石に戻る。


私も同じ、宇宙の一粒。



一粒の砂に世界を 野の一輪の花に天を観る
手のひらに無限を 
一時(ひととき)に永遠を抱いて  

ウィリアム・ブレイク『無垢の予兆』より抜粋

+++++

幼稚園のころに石を拾い集めていた私は、石(の作品)を販売する人になりました。まさに、夢みたいな話です。投げ捨てた夢も、生きていれば、ふとしたタイミングでブーメランのように戻ってくるものなのかもしれません。

もちろん、販売しているだけでは、買ってくれる人に巡り会えなければ、続けることはできませんが... 
まずは始める。このスタートをきる自体が、普通はできません。私も今までできずに... というか、そんなの夢のまた夢として、完全に無視してました。

前の仕事が破綻して、不思議な流れで、いつの間にかこうなっていました。そうでもなければ、石に携わる仕事なんて一生始められませんでした。

心から、魂から、私が惹かれている「石」について、これからもっと言葉にして、伝えていきたいです。


ひかりのいしむろ店主  原口あゆみ

上記はひかむろマガジン(無料・note内)からの抜粋です。
ひかむろマガジンにもぜひ遊びにきてください。

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