2019/08/09 14:05

こんにちは。ひかりのいしむろのマクラメ作家Micuです。


マクラメって、あんまり知られていません。実は私もマクラメを知ったのはほんの数年前。それも石が大好きなパートナーが教えてくれたのをおぼろげに認識していただけ。

実際の作品を見ても「紐で編んだの?へぇ~。」そのくらいのリアクションでした。

そして「何がいいんだろ。」と思ったものです。

これは、マクラメの魅力に虜になっている今の私が、過去の自分にマクラメの良さを教えてあげるブログです。



世界に一つだけ、自然と同じ

まずは、大量生産が全く不可能な技法であるというところ。

天然石はその名の通り天然物で、大抵は地球が作った鉱物を指す。それらは私たちが真似して作ることは難しい。真似して作ったものもあるけれど、ひかりのいしむろではよほど魅力感じなければ使わない。

そしてマクラメ編みは、紐を編むことで石を固定したり、模様を形作っていく。これはなかなか器用な人間の手の特性を生かしたものです。しかも、石や組み合わせによってデザインを変えていく。おそらく機械では再現できません。

プラスチックや金属などの加工は比較的再現性が高く、アクセサリーショップに行けば安く作られた手頃な製品が並びます。

それはそれで、利益率を考える資本主義的には正解だし、安く手に入ることも悪いことではないのかもしれない。

けど、装身具という「道具」から放たれるエネルギーに圧倒的な差があるのです。

少し話は変わるけど、このエネルギーを感じる感覚を大切にしたいな、と私は思うんです。

これは人工物よりも自然物からエネルギーを感じる、私たちの本能と言っていい部分だと思う。

どうしても造花より、生花からエネルギーを感じる。整備された街路樹より、田舎の神社にある大木からエネルギーを感じる。これって、意外とメジャーな感覚ですよね。

そしてこのエネルギーを感じるものに、人は「美」を感じるのです。

でも、現代社会の中ではそんな感覚「無駄」だと言われてしまう。でも、私たちが幸せになるためには、本当はとても大切な感覚だと私は思うんです。



編模様が仕上がっていく興奮

そして、マクラメには様々な編み方があり、それはもうものすごい種類なので私にも把握できないのです。それも当たり前、人類にとってこの編むという行為の歴史は、はるか原始まで遡ります。皆さんも、紐、結えますでしょ?

靴紐とか。リボンとか。三つ編みとか。

人類にとって道具の歴史は紐の歴史。漁に使う網、移動に使うカゴ。紐状の細長いものを、縛ったり、結ったり、編んだりするのって、ものすごく「人間らしい」行為だと思いませんか?(笑)

単純な網を繰り返すことで、徐々に規則的な模様が出来上がっていくのを見たとき、初めて体験するような興奮を感じたのを覚えています。

ねじり編みのブレスレットを作った時に「すごい!ただ縛っていくだけで、ねじり模様が勝手に出来上がっていく!」という、シンプルな感動です。

紐で、ねじり模様を作り上げるとか、めちゃくちゃ人間的じゃないですか。

だから、私はマクラメ編みをやっていると「私は人間だ!」ということを思い出すのです。非常に人工的で、機械化された現代社会の中で、自分が選んだ生き方に疲弊していた私は、自分が人間であることを忘れていたのかもしれません。

↑ねじりあみ。


そしてあれよあれよと天然石ジュエリーを作り始める

私のパートナーは石が好きでした。子供の頃から好きだったみたいです。私はそんなに石が好きじゃなかった、というか「何がいいの?」とマクラメと同じ反応。

でも、マクラメを編み始めてから石を見る目が変わりました。

「なんて美しいものを私は見逃していたんだろう」

きっと、美を感じるセンサーが故障していたのでしょう。それがマクラメジュエリーを作り始めることで蘇ったのです。

なにせ、1から私が自分の手で生み出した、ジュエリー。

時間をかけて、ひと目ひと目丁寧に編んでいったものに包んだら、ただの石ころじゃなくなって、キラキラとそれが輝きだします。

世界に一つだけのジュエリー。

愛しくならないわけがない、美しさを感じないわけがないのです。

石にありがちな、高い石とか、珍しい石とか、そんな人間の価値付けに関係なく、どの石も、私に包まれて、美しくたたずんでいる。

長い年月を使って地球が作った天然石。

私を人間らしくしてくれる編むという行為。

その二つが出会って、こうしてうちの作品になってくれる奇跡。

私は、己の手から美しいものが生まれていく喜びを日々感じています。

それが、マクラメジュエリーの魅力です。


ひかりのいしむろ Micu